3分で読めるエッセイ「恋人がほしい」

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花

「恋人がほしい、とにかく誰でもいいから恋人がほしい」と言われたら、どう思うだろう。

青春に欠かせないもの、それは恋であると私は思うのだが、どんな恋でもいいとは限らない。恋人がほしい、とにかく恋がしたいという男女がカップルになると、それを知る周囲は適当なところで手を打ったな、と思わざるを得ない。

私が思うに、女性は恋人がほしい、とにかく恋がしたいと思っていて、ばったり適当にいい人材に出くわした場合でも、それは運命であると思いたいのかもしれない。例えば、男性がとにかくすぐに付き合える女性を探し見つけた場合、女性側はそれが目的とわかっていても自分は例外で唯一特別な存在だと信じたいことが多い。なので、ちょっとでもあなたは特別な存在だという仕草を見せれば、女性はイチコロなのではないかと思った。

しかし、女性も男性もまずは見た目が許容範囲内であるかが前提となるので、これが誰にでも当てはまるとは限らない。

私の知り合いに、ほんとうにどうしようもなくモテない男の子がいた。話しかけただけで、女子全員を引かせる魔法が使える。私も引いた一人だったのだが、彼の何がそうさせているのか、わからない。

そんな彼は私の親友に心底惚れていたのだが、彼女にはこれっぽっちも相手にされない。むしろ、特別な存在だということを彼がアプローチすればするほど、彼女は極端に嫌う。彼女は、あなたという存在そのものが生理的に無理なんだと冷たく言い放った。押せばいいということは、誰にでも当てはまるわけではない。

また、別の知り合い男性がとある女の子と付き合っていた。その知人男性をA男くん、彼女をCちゃんとしよう。ふたりは同じ大学の同じ学部で知り合い、付き合い始めた。私は学部が全く違うので、Cちゃんがどんな子なのかはわからない。しかし、いつもふたりは一緒にいて、なんでも一緒にしたがる子であることは、学部が違う私でも見ていればわかった。

でも、A君は私や周囲の人には「彼女がほしくて、なんか適当にすぐ付き合えたから付き合った」と言っていたので、本当に好きというよりか、今この時間を恋人という存在で埋めておきたいという感覚に近いんだろう。

その後ふたりは1年ほど付き合った。しかし、A君は本当に好きになる子が現れるまでの時間稼ぎとしてCちゃんと付き合っていたため、1年後に本命となる女の子と出会い、あっさり別れを切り出した。Cちゃんはその存在になんとなく気づいていて、なんとなくそれが誰なのかわかっていたようで「あの子と付き合ったら殺す」という脅迫メールを送ったんだとか。だが、そんな脅迫には動じず、2人は結局付き合い始めたが、Cちゃんの方もまたすぐ新しい彼氏B君ができた。

実はこのA君とB君のやり取りを、私は目の前で聞いていた。

「別の彼女できたから、あいつ(Cちゃん)と付き合ったらいいんじゃね、簡単に付き合えるし。でも、結構やきもち焼きめんどくさい」

「マジ? ちょうど彼女いないから、付き合ってみるかな。ダメなら、すぐ別れるから」

煙草を吸いながら笑って話すふたりは、Cちゃんと一緒にいるときの顔ではなかった。

Cちゃんは、果たしてそういう目的で自分に近寄ってきている男だとわかっているのだろうか。A君B君がどんな方法でCちゃんと付き合うことになったのかわからないけれど、私はどちらかと言えば本音の部分しか知らないので、その後CちゃんとB君が仲良く歩いている様子を見るたび、心が痛くなった。

どんな出会いが本物の恋になるかはわからない。たとえお互いお試しで付き合ったとしても、その後結婚するくらいの本命になることだってあるし、本当にどうしようもないくらい好きになって付き合った相手だったのに、二度と顔を合わせたくないくらい嫌いになってしまうこともある。

女性も男性も、どこまで本音を相手に伝えているかわからないが、こんなやり取りを聞いた後では、私はとても恋人がほしいなんて思えなかった。同じことは、女性にも男性にもある。これはたまたま男性の本性を見せられた瞬間だった。恋愛とは、本当はこの世で一番怖いことかもしれない。「恋人がほしい」だなんて、軽々しく口にできないなと思った。


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プロフィール
2あそこのほくろ

プロ小説家を目指す主婦。「通りすがりの人の身体のどこかにあるほくろくらいどうでもいい話」をコンセプトに、このブログで3分で読めるエッセイを執筆。小説家になろう・カクヨム・アルファポリスにてオリジナル小説を公開。

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