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日記にも書いた通り、とにかく小説をたくさん読もうと思い立ち、この週末2冊読んだ。
この順番に読んだのだが、まずひとこと感想を言うなら、後者の『消滅世界』の破壊力がすごすぎて、『いまは、空しか見えない』の感想が一気に吹っ飛んでしまった。
『いまは、空しか見えない』は前から読みたい本のリストに入れていたもので、ついに読むことができた。
どんな内容なのかは、Amazonで見たりしたのである程度理解した上で読んだ。
しかし、『消滅世界』にいたっては『コンビニ人間』を読もうとして「ないだろう」とダメ元で図書館に行ったところ見つけて、どんな本なのか一切情報を得ないまま読んだ。
この先ネタバレを含む感想があるので、読みたい方は何の情報もないまま読むことをおすすめする。やっぱり、情報があると面白くない。
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『いまは、空しか見えない』
女のためのR-18には、私も一度だけ応募したことがある。
もちろん、結果はかすりもしなかったけれど、R-18に関する作家の作品はよく読んでいる。
『いまは、空しか見えない』というタイトルは、まさしく本の内容とピッタリだと思った。
とにかく、空しか見えない状況。下手したら、空さえも見えていない可能性がある。
人は、さまざまな葛藤を持っている。
最近、親や兄弟姉妹は家族だからこそ大切に思うのだが、大人になるとある程度離れて暮らした方がいいこともあると考えていた。
肉親だからといって、必ずどの家庭も仲良しとは限らない。
仲良しに見えて、その実態は本当は誰にもどうすることもできないくらい悪化しているかもしれない。
そう考えると、私の家族や夫の家族はわりと仲良しだと思うが、それでも人は誰にでも不満を持ったりするものだ。
この本を読んで、まず再確認したのは、家族だからといって、必ずしもいい関係ではいられないこと。
関係を修復することは、家族だとしても簡単にはいかないこと。
そして、誰かにとってはちょっとした傷でも、受けた本人には一生かかっても癒えることがない深い傷になるということ。
さらには、夢を追いかけ続けることについて、いろいろ打ちのめされた。
人間って、よくこんなに複雑にできているなぁと思ったくらいだ。
家族との関係のために、傷を癒すために、夢を叶えるために、人は一生懸命に立ち向かおうとする。
ほんのちょっとだけでもいい、何かが変わったのならそれで十分報われたと言えるのだろうか。
ハッピーエンドの小説みたいに、全ての人間が和解し理解し、夢はなんでも叶う現実は、やはり難しいのだろうか。
結局のところ、私は『いまは、空しか見えない』は誰も救われない話だと感じている。
『消滅世界』
読んだあとにネットで調べてレビューを見てみたりした。
以前『結婚相手は抽選で』を読んで、結構面白かったのだが、この『消滅世界』に関しても、いつか訪れるかもしれない世界という話として読んでいた。
読んでいて不自然にならない違和感が、ここ最近で一番面白く感じた。
まずは最初のところ。もうほとんどの人間が避妊具をつけて生活をし、子どもがほしいときになると避妊具を外してもらい、人工授精で妊娠をする。
恋人でもセックスをすることはかなり少ない。
読んで「え?」と思ったが、すぐに「なるほど、そういう世界なのか」と理解した。
この本の中の人間たちは、かなり理性的で、家族、つまり夫婦間での営みというのは一切ない。逆に、あったら家族とは言えない、という世界なのだ。
主人公の雨音は、両親がセックスをして生まれて来た。
いつか大人になったら、愛し合ったその人と結婚して子どもを産むものだと教えられたが、学校での性教育は人工授精に関するものしかない。
久しぶりに、面白いと思った。
図書館で半分くらい一気読みして、貸し出ししてもらうために本から目を話したとき、本の世界が現実の世界のように思えて、一瞬怖くなったくらいだ。
ひとつ不満を言うなら、ラスト。
何の情報もないまま本を読んで「こういう話なのか!」といろいろ驚かされて、面白いと思いながら読み進めていったが、ラストに近づくにつれ予測できてしまい、その予測だと私的にはあまり納得がいかないと思いつつラストを迎えた。
一部、気持ちが悪いという感想も見つけたが、私はそうは思わなかった。
気になる方はぜひ。
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